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■2006年03月05日

▼Silent Moon - Silent Moon-六つの月- 第1話(後編)

長らくお待たせしました。後編の登場です。
一度書き上げたものが納得行かなかったので、全部書き直しました。

では、どうぞ~。

※前編は、こちらです。

*

 凪姫と錦子は、文と合流する。

「会ってきましたよ、例の娘に。」
「で、どうだった?」
「残念ながら、話は聞けませんでした。もう、関わりたくない…だそうです。」
「そう…。」
「え?文さん、いったい何の話?」
「私の知り合いに元ドリーム・メイドの娘がいてね。活発な明るい娘だったんだけど、ある日突然、出勤しなくなったらしいのよ。周囲の人が言うには、だんだん持ち前の明るさがなくなっていって、出勤しなくなる直前には、いつも何かに怯える様な感じだったらしいの。」
「それって…!」
「凪姫…。『闇』が関わった事件って言うのは、その被害が大きくなった部分に目を奪われがちだけど、それには必ずきっかけがあるのよ。
 人の心の闇は、最初から大きいワケじゃない。それに対する思いや感情が強くなるにつれて、心の闇も大きく深くなってゆく。そしてそれが『闇の結晶』と共鳴した時、心は喰われ、巨大な力となって発現する…。」
「今回の場合、萌え通信に絡んだ事件が起こる以前に、ほんの小さな綻びがあった所はどこなのか…そこを探れば、きっかけは掴める…。」
「それが、ドリーム・メイドなんですね?」
「そうよ。でも、残念ながら最後の詰めの話は聞けなかった、ってわけ。」
「事が事だけに慎重に行かないと、ね。これ以上、誰かを巻き込むわけにもいかないし、かといって放っておけば次の犠牲者が出てしまう…。
 しょーがない…オトリ、使うしかないか…。」
「え…?オトリ…って……?」

 凪姫に無言の視線を投げかける、錦子と文。

「えぇぇーーーっ!わたし…っ?!」
「他に誰がいるのよ?萌え通信に載ったの、あんた一人じゃん。」
「大丈夫。ある程度、目星はついてるし、近くで援護してあげるから!」

*

 メイド服を着て、人気のない通りを歩く凪姫。それを陰から見守る、錦子と文。3人は月の欠片の力を使い、離れた場所から会話を交わす。

「錦子さん…、なんでメイド服なんですか?たまにすれ違う人が、ジロジロ見て行くんですけど…?」
「その方がわかりやすいでしょ?萌え通信に載った写真のままだし。」
「あからさまに怪しいですよ、こんなの。オトリなのが見え見えです…!」
「まぁ、凪姫だからねぇ…。」
「文さんっ!わたし、往来でメイドコスする様な趣味は、持ち合わせてませんっ!
 それより、ちゃんと援護してくださいよ。」
「わかってるって。他の3人もこっちに向かってるから…。」

 その時、夜空に浮かぶ月が六つに分かれる!
 月は『闇』の波動を捉えると、その姿をそれぞれの月齢を象徴する六つの形へと変化させるのである。この現象が見えるのは、凪姫達、月の欠片の加護を受けた者のみ。

「『闇』が…動き出した!」

 暗闇の中に、人影が浮かぶ。次の瞬間、凪姫を大量のフォークが襲う。

「往来にシルバーが降ってくるのって、あからさまに『不自然』でしょ!」
「そんだけ、なりふり構ってないって事よ…凪姫っ!右手の公園に飛び込んでっ!!」

 公園に飛び込む凪姫。それを追うように迫る暗闇の人影。その頭上には、宙に浮いた乗用車が…!

「私ヨリ目立ツ存在…消エテシマエッ!!」
「じょーだんじゃないわよっっ!!」

 凪姫めがけて飛んでくる乗用車。一瞬早く、凪姫は大地を蹴り、月齢の名を称える!

「ハーベスト・ムゥーーンっ!!」

 月の欠片が輝き、そこから延びた光の曲線が凪姫を包む。
 月の欠片の加護を受けた者は、その月齢の名を称える事により、月の力を身に纏う。その力は、その者がイメージする形を戦闘服として具現化する。これが、力の発現の第一段階である。
 そして、ほんの数秒前まで凪姫が立っていた場所にたたきつけられる乗用車。その爆風を避けるため、凪姫は建物の陰へ滑り込む。

「きゃっ!」
「え…、弥桜っ…?!」

 そこには何故か、帰ったはずの弥桜がいた。

「何してるのよ、こんな所で!」
「だって…気になったから…。」
「ついてきたの?もぅ、弥桜は月の加護がないんだから危険じゃない!」
「こんな事になるなんて思ってなかっ…」

 弥桜の言葉が止まる。炎上する乗用車の向こうに浮かぶ人影。その炎に照らされた顔は…。

「そ…そんな…。ゆめかさん…!」

 錦子と文が駆けつける。弥桜を目にした文が叱責する。

「弥桜!あんた何やってんのよ、こんなトコで!」
「叱るのはあとよ。
 やっぱり…当たって欲しくはなかったけど、予想通りか。ドリーム・メイドの最初の事件が起こった時期から考えると…これ以上闇の力を使えば、取り返しのつかない事になるわ。」
「取り返しがつかないって…?」
「闇に侵された肉体は『人ではないもの』に徐々に変化してゆくの。それに耐えられなくなった肉体は崩壊し、適応できる肉体だった場合、その肉体は闇に乗っ取られる。そうなったら…」

 その時、突然水道管が次々に破裂する。驚く4人。

「奴は…『水の闇結晶』か…!みんな、ここから離れてっ!」

 錦子が叫ぶ。
 『闇の結晶』は全部で三つ存在する。それぞれが「風」「水」「炎」の特性を持ち、取り憑いた者にそれらを自由に操る力を与えるのである。錦子は、ゆめかに取り憑いたのは「水」の特性を持つ結晶である事を悟ったのだ。

「オ前達、見タ事アルワ。ミンナめいどネ。ミンナマトメテ消シテアゲルワ!」

 帯状になった水が4人に襲いかかる。錦子と文は瞬時に月の欠片の力を纏い、それを払いのける。しかし、力を使えない弥桜をかばおうとした凪姫が、水の直撃を喰らってしまう。倒れる凪姫。

「ゆめかさん、もう止めて!何故こんな事をするんです!」
「オ前達ハ邪魔ナ存在…。
 めいど喫茶ハ、ぶーむニ乗ッテ次々ニデキテイッタ。デモ、ソレニ従イ、本来ノめいどノ姿トハ似テモ似ツカナイ奴ラガ溢レテキタ。コノママデハ、私ガ好キダッタ、私ガ築イテキタ世界ガ、ソイツラニ壊サレテシマウ…。ソンナ事ハ、私ガ許サナイ。私ノ世界ヲ侵ス者ハ、全テ消シ去ッテヤルノヨッ!」
「そんな…、そんな考え方、間違ってる…。
 メイド喫茶に対する考え方なんて、みんなそれぞれ違うもの…。最初は、本当にメイドらしいメイドがいる喫茶店から始まったかもしれない。でも今は、その世界が広がっていくうちに関わった色んな考えの人が、色んな形で発展させて、それが好きな人達がその好きな世界で一生懸命頑張ってる…。
 自分の考えと違うから、力ずくで消し去ろうとするなんて…そんなの間違ってるっ!」
「ダマレッ!めいど服ヲ着タダケノ人形ナンテ、必要ナイノヨ。満足ニ『めいどラシイ』事モデキナイクセニ、めいどヲ語ルナンテ認メナイ!」
「わたし…ゆめかさんのお給仕が好きだった…。私とは正反対の、丁寧で落ち着いた、すごくメイドらしい仕草が好きだったわ。そんな風にお給仕できたらって…羨ましかった。だから、暇があったら、いつもドリーム・メイドでお茶してた。少しでも真似できたらって…。
 でもね、ゆめかさん。あなたは一番大事な所が、一番メイドらしくないよ。見た目だけメイドでも、あなたの心はメイドのそれとは正反対…。あなたのその歪んだ心が、あなた自身が、あなたの好きな世界を壊してる事に気づかないの!」
「ウルサイッ!オ前ニ何ガワカルッ!」
「あなた…大事なコト、忘れてるよ…。
 私たちは、私たちを慕ってくれるご主人様やお嬢様がいてのメイドでしょう?メイド喫茶に何を求めてくるかは、お客さん次第。自分の考えを押しつけるためにやってるんじゃないわよ!」

 倒れていた凪姫が会話に割って入り、ゆめかに言い放った。その瞬間、ゆめかは怒りの形相に変わり、その肉体に急激な変化が起こる。
 同時に、凪姫達の足下の水たまりが渦を巻き始める。とっさに弥桜を突き飛ばす凪姫。その次の瞬間、水たまりは水柱となり、凪姫をその中に閉じこめた。

「ソノ中デ、私ニ刃向カッタ事ヲ後悔シテ、溺レ死ヌガイイワッ!」
「凪姫っ!」

 言葉で解決できるなら、力を使う必要はない…。そう考えて見守っていた錦子と文だったが、ゆめかの肉体の変化を目の当たりにして、力を使う決意をする。しかし…

「ヤツと凪姫が近すぎる…。私の技じゃ、凪姫まで巻き込んでしまう…!」
「文は弥桜を保護して!私はヤツの背後に回って、『闇の結晶』を直接狙うわ!」

 『人ではないもの』に対する攻撃は、『闇の結晶』を直接狙わなければ効果がない。肉体をいくら攻撃しても、取り憑かれた者の肉体が傷つくだけで『闇の結晶』自体はダメージを受ける事はない。そして『闇の結晶』は、その肉体が使い物にならないと判断した時、次の肉体を求めて消え去るのである。
 錦子は、ゆめかへの接近を試みる。しかし、水が豊富にある公園という状況が災いし、容易に近づく事ができない。だがその時、巨大な光の刃が水柱を霧散させ、同時に全ての水が凍りついた。

「なーにやってんだよ。俺様がいないと、なーんもできんのか。」
「凛華!遅いじゃないっ!」

 先刻の光の刃は凛華が、全ての水を凍らせたのは粉雪が、それぞれ放った技だった。そして、ぐったりした凪姫をノンが素早く助け出す。

「粉雪、一気にカタつけるよっ!」
「わかったわ、凛華!」

 左右に散開する凛華と粉雪。二つの力を合わせた連携技を使えるのは、唯一この二人のみ。『人ではないもの』となった者に対し、最も効果的な攻撃を仕掛ける事ができるのである。
 最初の攻撃で凛華が相手の動きを封じ、続いて粉雪が的確に『闇の結晶』を射抜く。しかし、粉雪はその攻撃の直前で手を止めた。

「凛華の攻撃が決まる直前に、『闇の結晶』は逃げちゃったわ…。」

 確かに、凛華の技で捕らえられたゆめかからは、邪気は感じられなかった。技を解除し、気絶したゆめかをベンチに寝かせる凛華。

「『闇』の力なんかに頼らなくても、あなたなら素敵なメイドでいられたはずなのに…。」

 弥桜が静かに呟く。その目にうっすらと涙を浮かべて…。

「『闇』はいつも、こんな風に心の隙間に付け入る瞬間を狙っているわ。彼女が『闇』に魅入られたのは、心の弱さがあったからよ。その代償として、彼女はこれから自分が傷つけた人達への贖罪と、自らの身体に受けた傷を背負って生きていかなければならない…。」
「こんな悲しい出来事をこれ以上起こさないためにも、私たちが早く、全ての『闇の結晶』を封印しないと、ね…。」

*

 数日後、ドリーム・メイドの前を通りかかる弥桜。女性客の話が聞こえる。

「えー。ゆめかさん、辞めちゃったの?」
「そうなのよ。もうショック!あんな素敵な接客が出来る人、そういないよ。」
「女の子に人気あったのになぁ。私、ゆめかさんに会いにココに通ってたのに…。」

 それを聞いた弥桜は、少し頷く。そして、吹っ切るようにその場を足早に立ち去る。仲間の待つ「Silent Moon」に向かって…。

Silent Moon~六つの月~ 第一夜「闇を駆るもの」・-完-


 ベタですいませんっっっ…!(汗)
 一応、メインの6人は全て出せるように工夫したつもりなんですが…、明らかに文の扱いが薄いな…。というか、当初は凪姫の話だったはずが、何だか弥桜の話になってしまってる。主人公なのに…(苦笑)。(まるで、シ○・ア○カの様だ…(爆)。)
 後編が前編より長い気がするのは、多分気のせいです。説明的なのも気のせいです。長セリフが多いのも気のせいです。面白くないのも気のせい……(汗)。
 この後の展開は、第6話まで1話完結で進行予定です。次回第2話は、錦子と相紅がメインのお話し。サブタイトルは、第1話と同じく、当初一部で発表したものとは変わる予定。内容が、初期のプロットとは随分変わっちゃったので…。
 さて、この場を借りて謝辞です。
 出たいと言ってくださる奇特な皆様、ありがとうございます。こんなド素人の作品とも呼べない形のものへ、様々なラブコールをいただき、感謝感激雨霰です。例えそれが洒落であっても、執筆の活力になります。
 そして、もうひとつ。「TЁЯRA」というアーティストと出会わせてくれたメイドさん、ありがとうございます。そのアルバムは、まさにSilent Moonの世界感にピッタリの音源です。BGMとして使いたいくらい。執筆中、ずっと聴いてたりします。ホント、ありがとです!
 次は、第2話の前に、デザイン的な部分と設定に関わる部分を公開する予定です。設定に関する説明をシナリオ部分に盛り込むと、無駄に長くなるので切り離すつもり。絵を見たいと言ってくださった方も、お楽しみに。
 あ。気が向いたら、感想や叱咤激励など、よろしくです。

※この物語はフィクションです。実際の社会・団体・人物等とは一切関係ありません。
Copyright (c) 2006 Yull Togami. Magical-Kids. All rights reserved.

投稿者 戸神由留 : 2006年03月05日 02:40

コメント

おほー、お久し鰤でございまーヽ(´ー`)ノ
また面白そうな企画をはじめたんですね!(笑)
どこへ行ってもクリエイティブで関心です。

では、続き楽しみにしていますー( ゚∀゚)ノ

投稿者 さなおか : 2006年03月05日 23:58

ありがとー!

まぁ、例のアレですよ、アレ(笑)。
最初のコメントが、某キャラのモデルになった方からいただけるとは、
嬉しい限りです。

次回は絵を出しますので、色々つっこんでやってくださいませ。
(多分、つっこみどころ満載だと思う。)

では、今後ともよろしく!

投稿者 戸神由留@管理人 : 2006年03月06日 01:20

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