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■2006年03月17日

▼Silent Moon - Silent Moon-六つの月- 第2話(前編)

長らくお待たせしました!
ごく一部の方々だけ待望の第2話、いよいよ公開です。

それでは、どうぞ~。


遙か昔…

この世の支配者になろうとした者達がいた。
その者達は力を得るために闇と契約し、
欲望のままにその力を振るった。

やがて、その愚かな三つの魂は闇に喰われた。
現世に肉体を持った闇は次々に人の心を喰らい、
混沌をもたらすため、刻の扉を開かんとした。

そこに、扉を守護する月の女神が立ちはだかる。
月の女神は、光と影、二つの魂からなる存在。
母なる大地の加護を受けた三つの聖獣を従え、
これを滅するため、立ち向かった。

だが、人の心を喰らった闇は、強大であった。
滅することは敵わぬと知った月影の女神は、
三つの聖獣の魂と引き換えにその力を抑え、
自らの魂を以て、三つの闇を一つに封じた。

こうして、全ては終わったかに見えた。

しかし、邪な人の心が、再び災いを招く。
封じられた闇の力を欲する者達が月影の魂を求め、
争い、奪い合い、その混乱の中、それは砕け散る。
それでもなお人は、三つに砕けた結晶を奪い合った。

繰り返される愚かな行為を嘆いた月光の女神は、
砕けて残った七つの欠片の内、六つに自らの魂を写し、
闇を封じる力として、正しき心を持つ者達に託した。
そして、最後の一つに願いを込め、
その名と共に月へと封印した。

月影の女神の魂が再び一つとなり、
静かな眠りにつける様にと…。

*

「これが、『眠りのレリーフ』に刻まれている文章よ。」
「『眠りのレリーフ』って、バックルームに飾ってあるアレですよね?」

 眠りのレリーフ。
 それは、『闇の結晶』を封じるために、月の欠片を託された者が後に作ったと言われている。中央に『闇の結晶』を収める三つの窪みと、それを取り囲むように『月の欠片』を収める六つの窪みが刻まれ、その上部には『月の女神のメッセージ・プレート』が埋め込まれている。月の欠片と共に託されたとされるそのプレートは、強力な波動を発して闇の力を抑え、アキバ周辺に及ぶほどの結界を形成しているのである。その材質は謎に包まれている上、紋章文字で刻まれたメッセージは未だ解読されていない部分が多い。

「『闇の結晶』は、過去、幾度となくこれに封印されては、邪な心を持った者達にその封印が解かれてきた。その度に、私たちの様な月に選ばれた者が、再び封印するという事を繰り返してきたらしいわ。」
「なんだか…人間って、悲しい存在ですね。」
「こんな悲しい宿命、断ち切ることはできないのかしら…?」


SilentMoon~六つの月~ 第二夜「その声は届かない」


 勤務後、カラオケボックスへ向かう錦子、凪姫、相紅(みるく)。現地で、弥桜、ノンが合流する。
 ボックス内。順に歌う5人。弥桜が、今流行の萌えソングを歌い、その話題となる。

「え?錦子さん、知らないんですか?今、アキバで人気のmoemiちゃんの歌ですよ!」
「あーそうなの?私、アキバ系の歌とか聴かないからなぁ…。」
「えー。楽しい歌、多いのに…。ねぇ、凪姫?」
「私にふらないでよ。私もほとんど聴かないし…。」
「そうなの?貸してあげるから、一度聴いてみてよ。」

 そう言いながら、鞄の中からmoemiのCDを取り出す弥桜。それを見た相紅が反応する。CDを手に取り、ジャケットをしばらく見つめる相紅。

「相紅ちゃん、興味あるの?」
「あ…、弥桜ちゃんが薦める歌ってどんなのかな…って。」

 上機嫌で解説する弥桜。夢中で話す弥桜を後目に、他のメンバーは歌に興じている。
 錦子の歌になった時、みんなが注目する。昔、バンドの真似事をやってたのよ、と話す錦子。さらに、相紅が歌った瞬間、みんなの動きが止まる。

「すごい…相紅ちゃん。プロみたい…!」

 以前、音楽を学んでいた事を話す相紅。でも、結局そっちの道には進めなかったし…と謙遜する。その後、音楽話で盛り上がる錦子と相紅。あっという間に2時間が経過し、お開きとなる。
 帰り道、方向が同じ錦子と相紅は、更に話を続けている。

「さっきの弥桜ちゃんが持ってたCD。多分、昔一緒に学んだ娘だと思うのよ。」
「あぁ、それでジャケットを見つめてたのね。
 あ。弥桜には黙ってた方がいいわよ。絶対、サインもらってー、って来るから。」
「ふふ…。かもね…。
 でも、あんなアイドル的な感じの娘じゃなかったんだけどな。もっと…音楽に真剣に取り組んでるっていうか…。あ、アイドルが真剣じゃないってワケじゃないけど、ね。」
「気になるなら、一度会って来たら?向こうも覚えてるかもしれないし。弥桜が確か、今度アキバでイベントがあるとか言ってたわよ?」
「えぇ。気が向いたら行ってみるわ。」

*

「相紅ちゃん!もしかして、moemiちゃんと知り合い?」

 数日後。出勤するなり、相紅に迫る弥桜。相紅が錦子に視線を送ると、違う違う、と首を振る。

「だって、moemiちゃんと相紅ちゃんの通ってたトコ、同じじゃない?」

 あぁ…という顔で納得する相紅。moemiのプロフィールを見た弥桜が、それに気づいたらしい。そして予想通り、サインをねだられる相紅。結局、押し切られる形で、一緒にイベントに行く事になる。ついでに、錦子まで巻き添えにして…。

「私、アキバ系の歌は興味ないって言ってんのに…。」

 渋々つき合う事にする錦子。そして弥桜は、歌、覚えてきてね、と二人にCDを渡す。お互い顔を見合わせて、苦笑いする錦子と相紅。

*

 自宅で、弥桜から渡されたCDを聴く相紅。ブックレットを眺めながら、昔一緒に学んだmoemiであることを確信する。しかし、数分聴いた所で、聴くのを止めてしまう。

「こんなの、全然彼女らしくない歌だわ…。」

 そう呟きながら、音楽を学んでいた頃の事を思い出す。先日の錦子との話の様に、あの日もmoemiと音楽を語り合っていた。今は音楽から離れてしまっている相紅にとって、それは大切な思い出でもあった。

「何万人もの観衆を沸かせる歌も素敵だけど、私は、たったひとりでもいい…、誰かの心を動かせる様な、誰かの心にずっと残る様な歌を歌いたい…。」

 熱っぽく語っていたmoemiの言葉が蘇る。それを思い返しながら、相紅は思う。

「moemi…どうしちゃったのよ。あの頃のあなたとは、変わっちゃったの…。」

*

 イベントの当日、弥桜との待ち合わせ場所に向かう錦子と相紅。到着すると、何故か凪姫までがいる。

「暇だって言ったら、ムリヤリ…。」
「親友が好きなものを一緒に楽しもうって思ってくれてもいいじゃない。」
「モノにもよるわよ…。」
「冷たいなー、錦子さんと相紅ちゃんはCDまで聴いてくれたのに…。」
「あ、弥桜。そのCDだけど、もうちょっと借りてていいかな?」
「え?え?錦子さん、もしかして気に入ってくれたんですか?!」
「あ…、まぁ、そんなトコかな…?」

 錦子の言葉に上機嫌になる弥桜。浮かれて足早にイベント会場に向かう弥桜を見ながら、苦笑いをする三人。
 イベントは、新曲2曲の発表と握手会。ステージ終了後、握手会の列に並ぶ弥桜。もちろん、相紅をムリヤリ連れて。仕方なく一緒に並ぶ相紅。凪姫と錦子は、会場の隅で二人を待つ。

「なーんかさ、アキバのイベントはいっつも盛り上がらねーな。」
「聖地なのにな。歌よりも、握手会がメインだしなぁ。」
「ま、moemiちゃんと握手できるから構わないけど。俺、この手、暫く洗わねー。」

 そんなファンの会話を聞きながら、人垣の向こうのmoemiを見つめる錦子。

「錦子さん…。そんなにmoemiちゃんが気になるなら、相紅ちゃんの代わりに行って来ればいいのに…。」

 凪姫の言葉に、まったくこの娘は…という感じで苦笑いする錦子。
 一方、握手会は弥桜の順番になる。必要以上にはしゃぎながら握手する弥桜の後ろで静かに通り過ぎようとした相紅だったが、moemiがそれに気づく。

「もしかして…相紅…?」

*

 握手会終了後、控え室に招待される弥桜と相紅。買ったばかりのCDに、念願のサインをもらって浮かれる弥桜。

「何年ぶりかしら?覚えててくれたなんて、嬉しいわ。」
「バイト先で同僚の彼女が、あなたのファンでね。CDを見て、もしかしたら…って思ってついてきたのよ。」
「バイトって…やっぱり、音楽関係?」
「全然。今は音楽からは離れちゃってるから…。アキバのメイド喫茶でメイドやってるのよ。」
「そうなんだ…。でも、お互い萌え産業ってトコは共通ね!」

 しばし歓談の後、相紅が問いかける。

「そういえば…、歌…随分変わっちゃったね…。」
「まぁね。萌えソングだからそう聞こえるのかも、ね…。
 でも、たまたま歌った萌えソングが当たったおかげで、こんなに沢山ファンもできたし、断らなきゃならないくらい仕事は来るし。最初は抵抗あったけど、この仕事を持ってきてくれた今のマネージャーには感謝してるわ。」
「……萌えソングだから…じゃ、ないと思うんだけど…な。なんてゆーか…歌から感じるものが、あの頃のmoemiとは違う…。」

 その言葉を聞いて、moemiの表情が少し曇る。

「moemi…あなた、何のために歌ってるの?」
「何のためって…歌が好きだから歌ってるのよ。好きな歌を歌って、CDが出せて、沢山のファンに囲まれて…。自分が好きな事を仕事にできるって、素敵な事だわ。
 この世界、歌い続けようと思ったら、数字が全てなのよ。CDを沢山売って、色んな所で曲を流してもらって、ドンドン順位を上げて…。数字は正直だからね。数字がいい方に向けば、自分が歌ってるって実感できる!」
「それで…、moemiはそれで楽しいの…?」
「楽しいわよ。今度の曲も、絶対1位狙うんだから!」

 その時、マネージャーから呼ばれるmoemi。

「もっと話したかったけど、もう次の仕事に行かなくちゃ。
 あ、コレ。今度ライブやるから、良かったらお友達と見に来て。」

 そう言ってチケットを手渡し、足早に控え室を出てゆくmoemi。予約できなかったライブのチケットを貰ってはしゃぐ弥桜とは対照的に、相紅の表情は浮かれなかった。

*

※後編に、つづく



 えーと…錦子がメインの第2話です。そうです。メインは錦子。錦子です!(笑)
 アバンを除いて、本筋の『月』や『闇』に関する表現が全く出て来ない前編。いやむしろ、そうなってしまったのでアバンを足したというか…(汗)

 この話は当初、戸神のオリジナル作品「重装狩兵ガルランサー」の番外編「カナリアは歌わない」をベースとして作り始めました。しかし、元々のキャラクター相関図を入れ換えて相紅というキャラクターを絡ませる事にした時、新たなエッセンスが思い浮かんだので、ベースの話とは全く違った話に仕上げてみました。(元々の話は、もう少し錦子寄り。)

 さて、後編は第1話の時ほどお待たせしない予定です。実はもう、一応の構造は出来上がっていて、後は文章に肉付けをするだけです。さらに、第3話も同じように構造が出来上がってるので、気が変わって再構築でもしない限り、テンポ良く公開できる予定です。(そう言って、2話、5話、8話は、当初のプロットから大きく変わって再構築したんですけどね(苦笑)。)
 錦子ファンの某メイドさん。錦子は後編で活躍する(はず)なので、乞うご期待!さらに3話はノンがメインで、今回全然出番のない凛華、粉雪、文が活躍の予定。そして、主人公のはずの凪姫は、ますます○ン・アス○の様になってゆく…(苦笑)。今後とも、よろしくです!


※この物語はフィクションです。実際の社会・団体・人物等とは一切関係ありません。
Copyright (c) 2006 Yull Togami. Magical-Kids. All rights reserved.

投稿者 戸神由留 : 2006年03月17日 01:04

コメント

どうもデスッ!!遅れてしまいましたが感想デスッ!!
私が好きなキャラは・・・やはり弥桜ですねー(´ー`)b
明るい印象がダイスキで、読んでるとアニメでも見たいなぁって思ってしまいました★場面場面でキャラクターが私の頭の中で動いています♪
大変かと思いますが・・・早く続きを~(笑

お腹の病気で苦しんでいましたが元気になれそうです(笑
続きを楽しみに・・・本っ当に楽しみに待ってますね~♪
頑張って下さい★

投稿者 ピンキー : 2006年03月17日 19:13

お腹、大丈夫ですかー?

弥桜、人気ありますね。今のところ、脇キャラなのに…(笑)。
モデルになったご本人も、喜んでくれるかな?
(というか、主人公が影薄すぎ…(汗)。)

第2話後編、公開しました。
また感想などよろしく~。
(あ。キャラ、増やす事にしましたよ。乞う、ご期待!(笑))

投稿者 戸神由留@管理人 : 2006年03月21日 14:06

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