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■2006年04月29日

▼Silent Moon - Silent Moon-六つの月- 第3~4話(前編)

おまたせ…というか、話を作っていく内に、大幅変更になりました。
予告とは全く違う展開になってしまった第3話。
アバンだけ、先行公開です…(汗)。

■第3~4話予告■
 それは、記憶の物語---。
 その女(ひと)は気高く、勇ましく、優しさに満ちあふれていた。そして、誰かの涙を全身で受け止められる、そんな強さを持った女(ひと)。彼女だから、彼女がいたから集まった仲間たち…。
 次回、SilentMoon~六つの月~ 第三~四夜「漆黒の悪夢(前後編)」。継がれし想い、涙を力に変えて---。



「凪姫は粉雪のバックアップで、右から攻めろ!」

 夜の静寂を破り、凛華の指示が飛ぶ。
 今夜もまた、『闇』に心を喰われた者が暗躍する。そして、それを封じるため、月の欠片の加護を受けた者達が光を放つ。

「ムーンライト・ダークネスっ!」

 凛華をバックアップする文が、『闇』の攻撃をはじき飛ばす。『月光の陰影-Moonlight Darkness-』は、空間を歪曲させ、それに飲み込まれたものを全て破壊する力。その力を攻撃に使うと言う事は、『闇』に心を喰われた者の死を意味する。それ故、文はその力を防御のために使う事が多かった。その援護を受け、凛華は粉雪との連携技『天使の光輪-Angel Halo-』を放つ機会をうかがう。
 一方、粉雪も凪姫の援護を受け、『螺旋の遠矢-Spiral Arrow-』を放つ機会をうかがっていた。凛華と粉雪、彼女らが使う力は2つで一つの技を成す連携の力。それを放つまでに出来てしまう隙をカバーするため、バックアップは重要な役目となる。
 『闇』の攻撃が激しさを増し、粉雪を襲う。それを『紋章の防壁-Emblem Shade-』で防御する凪姫。しかし、未だ力を充分に制御できない彼女は、いくつかの攻撃を防ぎ切れずに討ち漏らしてしまう。その一つが、粉雪の足下を崩した。

「きゃっ!」

 体勢を崩す粉雪。危険と判断した凛華が、咄嗟に『天使の光輪-Angel Halo-』を放つ。しかし、まだ充分でない状態で放たれたそれは、容易に『闇』に弾かれ、その逃走を許してしまう。あと一歩の所まで追いつめながら…。

「ごめんなさい、粉雪さんっ!」
「大丈夫よ、これくらい。凪姫ちゃんの方こそ、怪我はない?」
「はい。わたしは大丈夫…。」

 凛華が足早に近づき、その会話に割って入る。

「凪姫!全て討ち漏らすなとは言わない。でもな、最低限、粉雪には当たんねー様に弾け。それがバックアップの役目だ。」

 そう言い放つと、戦闘状態を解除してその場を立ち去る。後を追う粉雪。

「凛華…、もう少し優しい言い方、できない?」
「アイツ、まだ迷いがあるんだよ。だから、一人だけ翼が現れてないんだ。あれじゃ、いつかは自分の命を落としかねない!」
「それはそうだけど…。」

 月の加護を受けるものは、その力の発現のひとつとして、背中に翼が出現する。しかし、凪姫はまだその現象が現れていなかった。それは、彼女には月の欠片の内なる声が充分に聞こえていないと言う事を物語っていた。

「凪姫ちゃん、まだ力を使う事に戸惑ってるのよ…。」
「闇結晶に憑かれてるとはいえ、相手は人間。躊躇いはあって当然だが…。護るので精一杯の今の状態じゃ、いずれあの時のような…。」

 言葉を止める凛華。そして、過去の自分たちの記憶に凪姫の姿を重ね、月を見上げる。

「あんな思い…、俺たちだけで充分だ…。」

 そんな凛華の言葉に、頷く粉雪。その思いは、粉雪も同じであった。

「アイツは、アノ人が選んだんだ。もっと延びるはずなんだよ…。」

*

 一方、SilentMoonに戻った文と凪姫。

「文さんは、なぜいつも防御に回るんですか?それだけの力があれば…。」
「それは、凪姫が一番わかってるんじゃないの?」

 凪姫の問いかけに、言葉を返す文。そして、諭すように続ける。

「私たちは、たまたま月の欠片に適応できただけ。それを除けば、ウチの店に来る同じ年頃のお嬢様たちと変わらないわ。特別な訓練を受けた兵士や戦士、ましてや人殺しなんかじゃない。その私たちが、ある日突然、人を殺めることすらできる力を与えられてしまった…。その力の使い方に、躊躇うのは当然だと思うわ。
 でもね。だからと言って、その力を使わなければ、悲しい出来事が繰り返される。どこかで誰かが、泣くことになるのよ。私に与えられた力を使う事でその涙を止めることができるなら、私は躊躇わず力を使う。誰も泣かなくて済む様に…。
 そう考えれば、力の使い方は一つじゃないことに気づくはずよ。」

 文もまた、自分の過去に凪姫の姿を重ねていた。

「凪姫。あなたの迷いが消えないなら、降りてもいいのよ。そんな気持ちのままじゃ、月の欠片の力は充分に発揮できないわ。戦うことは強制じゃない。あなたが降りても、誰もあなたを責めないわよ。」

 そう言い残してバックルームを出る文。入れ替わりに、飲み物を持った優妃(ゆうひ)が入ってくる。

「あ、文さん帰っちゃうんですか?せっかく、優妃特製ドリンク作ったのに…。
 凪姫さんは飲んでってくださいね。」

 優妃は、SilentMoonのメイドの中で唯一、月の欠片に適応しないメイドだ。その分、みんなを気遣い、普段の店の運営に貢献している、縁の下の力持ち的存在だった。
 そう。優妃以外のメイドは、みんな月の欠片に適応できる素質を持っているメイド。誰が月の加護を受けて力を使うのか…、それは月の欠片によって選ばれる。すなわち、凪姫以外の誰かが凪姫の使う月の欠片『Harvest Moon』に選ばれれば、そのメイドもまた、凪姫と同じ力を使うことができるのだ。先刻、文が言ったことはそういう事だった。

「お疲れさま…。」

 いつの間に入ってきたのか、考え込む凪姫の肩に優しく手を添える茉莉(まり)。凪姫は茉莉に問いかける。

「茉莉さんは、開店当初からお店で働いてたんですよね?私が使ってる欠片『Harvest Moon』って、前に誰かが使ってたんですか?」

 少し間を置き、壁にかけられた『眠りのレリーフ』を見上げる茉莉。そこには既に、闇の結晶の一つ『炎の闇結晶』が封印されていた。凪姫がSilent Moonに来る以前に封印されたそれを見つめながら、茉莉が答える。

「凪姫ちゃん。あなたが今、戸惑いながら月の欠片の力を使ってるっていうのは、一緒に戦っていない私が見てもよくわかるわ。みんなが通ってくる道だから、ね…。
 でも、前に『Harvest Moon』を使っていたメイドがいたとして、その人の話を聞いて、あなたの迷いは消えるのかしら。あなたが聞くべきなのは、過去の使い手の話じゃなくて、今の月の欠片の声だと思うけど…。」
「月の欠片の声…?」
「そうよ。月の欠片の加護を受けるものは、本当の使い手となった時、その内なる声を聞くことができる…。」
「茉莉さん…もしかして、前の使い手って…。」
「残念ながら違うわよ。私が使っていたのは、ノンちゃんが使ってる『Gibbous moon』よ。」

 意外な事実に、驚きを隠せない凪姫。なぜ、茉莉が使っていた月の欠片を、今はノンが使っているのか…。

「使い手は月の欠片が選ぶ…。あなたと同期のノンちゃんが入ってきた時、私より彼女の方が、『Gibbous moon』の力をより効果的に発揮できたからよ。」
「それじゃ、私の『Harvest Moon』は…。」
「聞かない方がいいことも…ある。それでも、あなたは聞きたい?」
「はい…!私…同じ欠片を使っていた人がいるなら、その人がどういう力の使い方をしていたのか知りたいんです。さっき文さんが言っていたコト、それを見つけるきっかけになるなら…。茉莉さん、お願いします!」

 凪姫の言葉を受け、静かに話し始める茉莉。
 それは、凪姫がまだSilentMoonのメイドでなかった頃の物語。その女(ひと)は気高く、勇ましく、優しさに満ちあふれていた。そして、誰かの涙を全身で受け止められる、そんな強さを持った女(ひと)…。


SilentMoon~六つの月~ 第三~四夜「漆黒の悪夢(前後編)」


※中編につづく。



 1ヶ月以上間があいてしまったので、アバンタイトルだけ先行公開です。
 どう整理しても、入れたいエピソードが山盛りで、まとまり切りません…(汗)。前話のトークで「スピーディーに公開できるのでは」とか書きましたが、とんでもねぇ!話をまとめるのって、大変です。
 8話以降のエピソードに絡んで、3~7話のエピソードも大幅変更する事にしました。一部のエピソードは、それ自体がオクラ入りになるものも出てしまってますが、機会があったら番外編で公開したいかな、と考えてます。
 そんなわけで、第3話は3回に分けて公開の予定。予告で3話としていたエピソードは5話に、5話として用意していたエピソードはその一部を新たに起こした4話に組み込んで、大幅変更で公開する予定です。

※この物語はフィクションです。実際の社会・団体・人物等とは一切関係ありません。
Copyright (c) 2006 Yull Togami. Magical-Kids. All rights reserved.

投稿者 戸神由留 : 2006年04月29日 14:52

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