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■2007年08月31日

▼Silent Moon - Silent Moon-六つの月- 第5話(前編)

 たいへん長らくお待たせしました。やっと公開です。(前編のみですが…汗。)
 予告通り、今回からweb上では小説風シナリオを、その後、台本形式の同人誌を発行という形で公開していきたいと思います。
 また、各話のボリュームを調整するため、すでに公開している第3話を、同人誌版では第3~4話として2話分に分割する予定です。それを受けて、web版の方も「第三~四夜 漆黒の悪夢(前後編)」と改題しました。
 それでは、第5話をお楽しみください。↓


 1 プロローグ

 凪姫と文の二人は、都内の私立高校の教室のひとつに身を潜めていた。外は大粒の雨。時折、雷鳴が聞こえている。
 凪姫は、自分をかばって傷を負ってしまった文を気遣い、不安げに覗き込んでいる。
「文さん、すいません。私が先走ったせいで…。」
「大…丈夫よ…。これくらい…。」
 そう言った文の表情は、その言葉とは裏腹に、厳しい表情だった。

 時は数時間前に遡る。
 普段と変わらぬメイド喫茶・SilentMoonの店内。平日ならではのゆったりとした雰囲気の午後。そしていつものように、明るい文の声が響いている。どうやら、高校生のお嬢様二人と話が盛り上がっているようだ。
「ほんとですよ。隣のクラスの娘なんて、三週間以上帰ってないんだもん。」
「いまどきの高校生って、そんなもんじゃないの?」
「でも、親が捜索願い出したらしいんですよ。」
「1年や3年でも何人かそんな娘がいるらしくて、神隠し?とかって、ちょっとした騒ぎだもん。」
「ふーん、まるで学校の怪談ね。ほんとに何かいたりして?」
「いなくなった娘って、カワイイ娘や綺麗な娘ばっかみたいだし。私も神隠しにあったら、どうしよー?」
「だいじょーぶ!あんたは心配ないって。」
「あら?それはわかんないわよ?ほら。人の趣味って色々だし。」
「えー!文ちゃん、ヒドイ…。それって、暗にカワイクナイって言われてる…?」
「そんなこと言ってないわよ?高校生じゃなかったら、ウチのお店にスカウトしたいくらいだもん。」
「そんなこと言ったら、この娘ホンキにしちゃいますよ?」
「大歓迎よ。ちょうどキッチンの人手が足りなかったし…って、冗談よ、じょ・う・だ・ん♪」
「あー、やっぱりそう思ってたんだ…!ひどーいっ!」
 普段の静かな様子と違い、ホールに出るとお喋りになる文。そんな様子を見つめながら、それでちゃんと仕事はこなすんだから…見習わないと、と凪姫は思う。

 夕刻。天候が崩れはじめ、遠くでゴロゴロと雷鳴が聞こえる。凪姫は、自宅近くにある私立高校の様子を、少し離れた場所から見つめていた。昼間の、文とお嬢様の会話が気になったからだ。
 そして場所を移動しようとしたとき、不意に後ろから肩をたたかれる。凪姫は突然のことに驚き、思わぬ声を上げる。
「ひやぁぁぁぁぁっ!!」
「ななななな…なんて声出すのよ。もう!」
 その声の主は、文だった。彼女も同じく、昼間の会話が気になり様子を見に来たのだ。
「昼間のお嬢様、ここの制服着てたでしょ。確か、凪姫の家ってこの近くだったな…と思ってね。予想的中!。」
 その時、校内から悲鳴が聞こえる。咄嗟に校内に向かって駆け出す凪姫。それを追うように文も校内へ入り、声が聞こえた2階へ駆け上がる。階段を登り、角を曲がった所で、突然現れた人影に驚いて立ち止まる二人。どうやら、ここの女性教師のようだ。
「あら?何かご用?」
「今…この校舎から悲鳴が…。」
「そうなの?何も聞こえなかったけど…。雷の音でも聞き間違えたんじゃない?でも、困るのよねぇ。部外者に勝手に校内に入られたら。」
「あ…それは、その……。」
「ふふ…。でもあなた、可愛いから許してあげるわ。」
 女性教師が不敵な笑みを浮かべた直後、窓の外で稲光が光り、不気味な影が落ちる。その光で、女性教師の足元が濡れていることに気づく文。そして、女性教師がゆっくり右手を挙げる…。
「凪姫!危ないっ!」
 次の瞬間、無数の水滴が二人を襲う。文は階段の方向へ凪姫を抱きかかえるようにして飛ぶが、幾つかの水滴の弾丸を喰らってしまう。そのまま階段を転げ落ちる二人。
 凪姫は慌てて起きあがり、自分をかばって下敷きになった文を抱き起こす。
「痛っ!」
「大丈夫ですか?文さん!」
 立ち上がろうとして、右足に痛みを覚える文。どうやら、右足を捻挫したらしい。凪姫は文を肩に抱えながら立ち上がり、とりあえずその場から脱出する。その様子を、女性教師は不気味な笑みを浮かべながら見下ろしていた。
「ふふふ…、可愛い兎ちゃん。ゆーっくりかわいがってあげるわ。」

第五夜 誓いの傷跡

 2 現在・教室の一角

 教室のひとつに身を潜め、外の様子をうかがう二人。文の表情は、痛みに歪んでいた。
「…こんな時に、ノンがいてくれれば…。」
「さっきからノンちゃんに呼びかけてるんですけど…。」
「私も…よ…。でも、ノイズが多くて何かに遮断されてる感じ…なのよね。」
「さっきの女教師、水の闇結晶…ですよね?」
「えぇ、多分…ね。この天候、あいつには有利だわ。周り全部が水なんだから。迂闊に飛び出せば、餌食になるわね。」
「止むまでここにいた方が、いいって事か…。」
「そうとも言えないかも…よ。この嫌な感じのノイズ、この校舎全体から感じるのよ。」
 文に応急手当を施していた凪姫は、彼女の胸の傷に気づく。
「文さん、その傷…。」
「これは、今付いた傷じゃないわよ。」
 そう言って、少し遠い目をする文。
「これは…まだ私が"使い手"になりたての頃に受けた傷なの。」
「え…?でもそのくらいの傷なら、"無限の装飾-Infinity Dress-"で治してもらえるんじゃ?」
「うん…。でもね、私は私自身の想いを決して忘れないために、残したままにしているのよ。」
「想い…?」
「そう…、あの日誓った私の想い…。私自身が"使い手"になると誓ったあの日…。」
 文は何かを思い返すように、静かに語り始める。

 3 過去・出会い

 数週間後にオープンを控えたSilentMoonの店内。意外と少ない採用者、まだ空っぽに近い静かな店内、そして初めての顔合わせに、文は緊張を隠せないでいた。そんな彼女に、一人の採用者が明るく声をかける。
「はじめまして!私は雫。あなたの名前は?」
 文が見上げると、ゴシック調の出で立ちで、一見まだ高校生のように見える少女が立っていた。身長は文より少し低めだろうか。しかし、身長や服装から受ける幼げな印象とは正反対に、その瞳からは大人びた、芯の通った力強さを感じさせる。そして、全く物怖じしない人懐こいその笑顔に、文は少し戸惑いを感じながら、その問いに答えた。
「あ…え…、ふ…文です。」
「文ちゃんか…。落ち着いた感じの名前ね。"和"が似合いそう!」
「あ…ありがと…。えーと…」
「雫よ、し・ず・く!ちゃんと覚えてね。」
「うん…。っていうか、緊張しない…?私なんて、もう…ほら。こんなに---。」
 そう言いながら広げた文の掌は、緊張の汗でびっしょり濡れていた。しかし、そんなことはお構いなしであるかのように、雫は話を続ける。
「性格かなー。あと、文ちゃん達より1ヶ月ほど前に採用されたから、慣れてるってのもあるかも。」
「そうなんだ。私…受かるって思ってなかったから、もうそれだけで舞い上がっちゃって。」
「そういう時は、一度深呼吸してみればいいのよ。そして、自分の好きな歌でも唄いながら、気持ちを落ち着ける…。私の緊張をほぐす方法なんだけどね。」
 そう言って、雫はメロディを口ずさむ。その旋律に、文の表情に笑みがこぼれる。
「あれ、その歌…もしかして『THE EARTH』の『Marionette』…?」
「え?この歌、知ってるの?」
「うん。私、『THE EARTH』の歌、好きなのよ。アルバムも何枚か持ってるよ?」
「ホントに!?私もよ!わぁ、こんなところで『THE EARTH』のファンと合えるなんて、思ってなかったわ。」
 その話題をきっかけに、あっという間に打ち解ける二人。同時に、文の緊張もどこかへ消えて、いつの間にか自然に"文""雫"と呼び合うようになっていた。
「そういえば、文はなんでここに応募したの?」
「うーん…、たまたま募集広告を見つけて、なんとなく応募してみたのよ。」
「そうなんだ…?私は…ここじゃなきゃ、だめだったから…ね。だから自分から押しかけて、文たちより1ヶ月ほど前に採用してもらったの。」
 そう言った直後、文には雫の目が一瞬厳しい目つきになった気がした。そしてすぐに、それは気のせいではなかったと知ることになる。
「正式採用になる前に、みんなに話しておかなければならないことがあるの。」
 話に夢中で気づかなかったが、いつの間にか店内には、五月、茉莉、錦子の三人が揃っていた。そして、そう切り出した五月の口から語られたことは、"月の欠片"と"闇"にまつわる話だった。
「これは強制じゃないわ。だから、もし嫌ならここで帰ってくれても構いません。」
 その話を聞き、文は採用者が少ない理由をはじめて知ることとなる。全く何も知らなかったのは、自分だけだったことも…。
 そして少し考えた後、文は残ることを選んだ。自分ではなぜだか分からなかったが、今考えると、雫と一緒に働きたかったからかもしれない。でも、運命はそれを許してくれなかった---。

 4 過去・対峙する二人

 開店2日前、望まぬ運命が訪れる。
 厚い雲に覆われた空、雷鳴が徐々に近づいてきているのがわかる。そして、まるで運命を暗示するかのような空の下、病院の中庭で対峙する文と雫の二人。文の傍らには車椅子の女性が倒れ、その前に悲痛な表情で立ちはだかる文がいた。
「どいてよ、文!」
「やめて、雫!こんなことして、何になるの!」
「私は…私はあの人の敵を討たなきゃいけないのよっ!」
 そう言い終わらぬ内に、大地を蹴り、雫が文に迫る。
「やめてーーーーーーーーーーーーーーー!!」
 その叫びをかき消すかのように、大きな雷鳴と稲妻が走る。
 そして---。

 5 現在・錯綜する記憶

 再び現在の凪姫と文。凪姫は、文の語りが次第に錯綜し始めていることに気づく。
「文さん…?!」
「私が…私が彼女を…、殺…し…。」
「文さん、しっかりしてください!」
 そう言って、文の額に手を当てる凪姫。驚くようなその熱さに、凪姫は言葉を失う。そうしている間にも、文の息遣いはさらに荒くなってゆく。
「はっ!さっきの攻撃…。あれに毒素が含まれていたんじゃ?このままじゃ、文さんが…!」
 凪姫は、文の身体を物陰に隠し、立ち上がる。
「文さん、ここで待っててください。何とか、みんなと連絡を取ってきます。」
「だ…めよ…凪姫…。一人で…行っちゃ…危な…。待っ…て……。」
 文は、声にならない声でそう呼びかけるが、凪姫には届かなかった。そして、目が霞み、焦点が定まらなくなった文の視界に写った凪姫の後姿が、過去の情景とオーバーラップしてゆく。

 6 過去・すれ違う想い

 文の記憶の中の情景。思い詰めたように店を飛び出そうとする雫を、文が制止する。雫はその声に立ち止まり、暫くの沈黙の後、ドアの方を向いたまま口を開く。
「…なに…?」
「私…、私じゃなくても…。」
「なによ、それ。同情?そんなもの、された方が惨めだわ。」
「そんなつもりじゃ…。ただ…。」
「"ただ…"何?ただ、メイドがしたかった?だから私じゃなくてもいい?冗談じゃないわよ!そんな姿勢で、結果がこれだなんて…納得できるわけ、ないでしょ!」
「雫…。」
「私…辞めるわ。必要とされてないみたいだし…。」
 そう言い放ち、勢いよくドアを開け、店を出る雫。文は追いかけようとするが、ためらい立ち止まる。そのやり取りの一部始終を、ちょうど買出しから戻った五月が見ていた。それに気付き、文は問い掛ける。
「五月さん…。どうして私なんですか?雫の方が…!」
「決めたのは私達じゃないわ。"使い手"は、月の欠片が選ぶ…。あなたは、月の欠片"DarkMoon"に選ばれたのよ。」
「でも…!」
 そんな文の様子に、五月はしばらく悩んだような表情を見せ、自分の後についてくるように促す。文はそれに従い、二人は店を後にした。

 7 現在・奔走する凪姫

 一方、現在の凪姫は、職員室に行けば電話が使えるかもしれない、と考え、校舎の2階にある職員室へ忍び込もうとしていた。静かにドアを開け様子を伺いながら、姿勢を低くして電話を探す。そして、見つけた電話の受話器を手に取った途端、そこから声が聞こえる。
『あーら。可愛い兎ちゃんかと思ったら、泥棒猫だったとはね。』
 その声に驚き、受話器を放り投げ、咄嗟に身を翻す凪姫。いつの間に現れたのか、凪姫の後ろには先ほどの女性教師が立っていた。
「い…いつの間に?!」
「そういうイケナイ娘はおしおきしないとね。」
「くっ…!」
 後ずさりしながら周囲をうかがう凪姫は、足元からのうめき声に気づく。
「う……、た…たすけ…て……。」
 デスクとデスクの間に視線を落とすと、女生徒が倒れていた。その姿は、十代とは思えない程、老いて衰弱している。
「その娘のエナジーも若々しくてよかったけど、あなたのエナジーはもっとよさそうね。」
「エナジー…?そうか、あなたがこの娘から生気を吸い取ったのねっ!」
「ふふふ…そうよ。そして、私の若さは永遠に保たれる。この力があれば、いつまでも美しい姿でいることが出来るのよ。」
「さっきの水滴…何かの薬品で身体を動けなくして…!」
「あら、失礼ね。そんな下品な手段は使ってないわよ。さっきまでその娘は、最高に幸せな気分でいたはずよ。」
「なに?!」
「その娘が望む、幸せな夢を見続けたまま…。ふふふ、あなたにも見せてあげるわ。」
「そうか…幻覚を…!」
 もう、月の欠片の力に頼るしかない。意を決した凪姫は、物陰に飛び込み、月の欠片の力を身に纏う。
「ハーベスト・ムーンっ!!」
 月齢の名を唱えた凪姫の身体を、月の欠片"HarvestMoon"から伸びた光が包み込む。その姿は一瞬で、凪姫がイメージする戦闘スタイルへと変化を遂げる。
 それを見た瞬間、女性教師の表情が怒りの形相に変わった。
「その力、私の美の追求に仇なす力…!」
 女性教師の右手から放たれた水の弾丸を"紋章の防壁-Emblem Shade-"で弾き飛ばしながら、凪姫は職員室の外へ飛び出す。
「あれで文さんも幻覚を見ていたのね。何とかしないと…!」
 凪姫は廊下を駆け抜け、文がいる教室とは逆の方向へ移動する。そんな凪姫を、不敵な笑みを浮かべながら追う女性教師。
「ふ…。どこに逃げてもムダよ。全ては私の掌の中…。」

 8 過去・初めての実戦

 その頃、文の意識は過去の記憶の中にいた。文にとって重すぎる経験。しかし、決して忘れることのできない出来事…。女性教師の幻覚の効果が見せる記憶の断片に、文は翻弄されていた。
 今、文が見ている記憶の断片は、二週間後にオープンを控えたSilentMoonの店内。予定されていたミーティングのために店を訪れた文だったが、皆の予定が合わずに急遽延期され、代わりに茉莉、錦子の買出しで無人となった店の留守番をしていた。そこに、五月が二人の女性を連れて現れる。
「なんだ…、みんな集まらなくて延期?せっかくこの二人を紹介しようと思ったのに…。」
 そう言って五月は、後ろの二人に中に入るように促す。それは、後に"使い手"のツートップ、闇との戦いの要となる、粉雪と凛華の二人だった。対を成す月の欠片、"WaxingMoon"と"WaningMoon"。この二つの欠片に反応する者は、これまで一人も見つかっていなかったのだ。
 これで六つの欠片に適応する者がすべて揃った。あとは、欠片が選んだ者が"使い手"となり、闇を封印する。しかし、メイドとして働きたくて応募した文にとって、それは未だ実感のないものだった。
「凛華だ、よろしく。」
「粉雪です。よろしくね。」
 互いに握手を交わす三人。その時、五月の目に映った月が六つに割れる。それは"闇結晶"が現れたことを物語っていた。
「まだ二人の力量は未知数だけど、とりあえず"月の欠片"を持って付いて来て。文は"DarkMoon"を!」
 そう指示し、"月の欠片"が示す方向へ駆け出す五月。早速の実戦にはやる凛華と、ためらいなく続く粉雪に対し、文はまだ不安を抱えた表情だった。
「私…、ついていっても足手まといなんじゃ?雫、あなたがいてくれれば…。」
 文と雫。意気投合した二人は、適応する欠片も同じ"DarkMoon"だったのだ。それ故、文は自分よりもはるかに勝る雫が、その"使い手"になるものと思い込んでいた。まさか自分が"闇"と対峙することになるとは…。訓練以外で力を使うのは初めての文にとって、足取りは重かった。
 そして、そのときは訪れる。人を襲おうとする"闇に憑かれし者"に対し、五月が"紋章の防壁-Emblem Shade-"を放ち、それを防ぐ。間伐を入れずに、粉雪と凛華が退路を断ち、"闇に憑かれし者"を追い詰める。二人とも初めての実戦とは思えない、見事な動きを見せていた。
「この二人…すごい!私の出る幕じゃ…。」
 文がそう思った瞬間、まるでそれを見透かしたかのように、"闇に憑かれし者"が文に迫る。咄嗟に技を放とうとする文だったが、その瞬間、視界に"それ"が飛び込み、一瞬手を止めてしまう。それが仇となり、文は"闇に憑かれし者"の一撃を喰らい、大きく後方へ弾き飛ばされる。その反動で、纏っていた"月の欠片"の力が解除されてしまう文。なおも迫る"闇に憑かれし者"…!
「伏せて、文っ!」
 寸でのところで、五月が放った"紋章の防壁-Emblem Shade-"に守られる文。それに弾き飛ばされた"闇に憑かれし者"は逃走しようとするが、凛華はそれを見逃さなかった。凛華の右手から放たれた"天使の光輪-Angel Halo-"が"闇に憑かれし者"の動きを捉え、粉雪が"螺旋の遠矢-Spiral Arrow-"を放とうと構える。
 しかし、"闇に憑かれし者"が苦し紛れに起こした突風に、まだ実戦経験が未熟だった粉雪と凛華は、足元をすくわれ吹き飛ばされてしまう。
「やはり…、経験不足は埋められないか。ならば…!」
 五月が攻撃に転じようとした瞬間、疾風のように現れた人影が、文の脇に飛ばされていた月の欠片"DarkMoon"を手にとり、光を纏う。それは一瞬の出来事だった。
「ムーンライト・ダークネスっ!!」
 強大な重力攻撃が、"闇に憑かれし者"の頭上から襲い掛かる。それを放った人影は、雫であった。その圧力に屈し、地面にめり込む"闇に憑かれし者"。勝ち目がないと判断したのか、"闇結晶"はその肉体から離れ、消え去る。しかし、止めを刺すかのごとく、雫は技を放ちつづけていた。
「もういい、雫!技を解除して!」
 五月のその声に我に返り、技を解除する雫。そして、倒れた文に駆け寄り、手を差し伸べる。その目からは、先ほどまでの鋭さは消え、いつもの人懐こい顔に戻っていた。
「文、大丈夫?」
「う…うん…。」
 さっきまで体の震えが止まらなかった文だったが、雫の手をとり安心したのか、徐々に落ち着きを取り戻していた。
 そんな二人に、五月たち三人も駆け寄る。
「助かったわ、雫。でも、よくここがわかったわね。」
「偶然ですよ。たまたま近くを通りかかったら、悲鳴が聞こえたんで駆けつけたんです。」
 そして、五月の後ろの二人に気づく。
「五月さん、そちらの二人は…?」
「あぁ。やっと見つかった"WaxingMoon"と"WaningMoon"に適応する二人よ。今日のミーティングで紹介するつもりだったんだけどね。」
「今日のって…。もしかして、いま初めて"月の欠片"の力を使ったんですか?」
「そうなのよ。私も少し驚いてるんだけど…。」
 それぞれと挨拶を交わしながら、尊敬の眼差しを二人に送る雫。
「私なんて、初めて技を放ったとき、反動で後ろに倒れて壁に後頭部をゴーン、よ。」
「うーん。何かよくわかんないんだけど、声が聞こえたのよね。で、その通りにやったら、上手くできちゃったってゆーか…。てへ♪」
「ま。俺様にかかれば、こんなもん朝メシ前だな。頭の中で誰かが喋ってたけど、そんなもん聴く前に身体が動いてたよ。で。あれ、誰だったんだ?」
「ふぅ…驚きね。最初から"月の欠片"の声が聞こえるなんて。まさに、待ちに待った救世主だわ。」
 文はそんなやりとりを見ながら、これなら私が"闇"と対峙するのは今日が最初で最後ね、と少し安堵していた。
 その帰り道、文を気遣った雫は、途中まで付き添うことにした。
「雫、さっきはホントにありがと。あなたが来てくれなかったら、私…。」
「なーに言ってんのよ。持ち上げても、何にもでないわよ。私なんかより、あの二人の方が数段すごいじゃない。」
「でも、雫が来てくれたから安心できたんだもの…。もう、あの時は震えが止まらなかったんだから。ほら、まだ手が少し震えて…。」
 そう言いかけた文の手を握り、優しく声を掛ける雫。
「大丈夫。文の傍には、いつも私がついてるから。もう…誰も、私の大切な人を傷けさせたりはしない。」
 何か、強い想いを込めたかのようなその言葉が気になりつつも、触れてはいけないような気がして、文は別の質問を投げかける。
「雫は、"月の欠片"の声って聞こえてる?」
 しばらくの沈黙の後、雫が答える。
「実はね…。私、まだ一度も聞こえたことがないんだ…。」
「え…?」
 意外な答えに驚く文。あれだけ"月の欠片"の力を使いこなしている雫が、一度も声を聞いたことがないなんて。どうやって、それを使いこなしているのか…?
「"月の欠片"から力が流れ込んでくる感じがわかるの。それでね、それを捻り出すようなイメージで相手に意識を集中させる。そうすれば、技が自然と発動する、て感じかな?」
 その言葉に、先刻の雫の姿を重ね合わせる文。だからあんな風に、五月さんが制止するまで…。
「文も、その力の流れを感じれば、"月の欠片"を使いこなせるわよ。"月の欠片"はそれぞれ特性が異なる。だったら、その使い方や力の現れ方も違うはずでしょ。使いこなせるようになれば、いずれ声も聞こえてくるわよ。」
 そうなんだろうか…?疑問を感じつつも、文はそれを口に出せずにいた。そんな文を見て、雫は元気付けようと話題を変える。
「もう!あんまり考え込むと、早く老けるよ。今日は、この話はおしまい!」
 そう言いながら、文を抱き寄せるようなしぐさをする雫。
「そうだ。元気のない文に、とっておきのプレゼントあげるわ。ふふふ…、聞いて驚け。『THE EARTH』の未発表曲のCD!」
 それを聞いた途端、表情が明るくなる文。
「え?なになに!そんなのがあるの?」
「ふふ、詳しいことは、ナ・イ・ショ♪今度持ってくるからね。楽しみにしてて。」
 少し元気になった文を見て安心した雫は、大きく手を振り、文を見送る。
「じゃ、文。あと少しでお店がオープンだし、お互い頑張ろうね!」

[後編につづく]

 さて、いかがだったでしょうか?
 今回は、過去と現在を行ったり来たりの話です。構成は、前編で主要なシーンを全部見せて、後編でその間を埋めて謎解きをしていく、という作りにしています。絵がないとわかりにくいかな…と思いつつも、同じ過去話である3~4話と差異をつけるため、この構成にしてみました。正直、ここで切られると先が気になってしょうがない、と言う方が続出かも…苦笑。
 後編は、近いうちに…と言いたい所ですが、当たり前のように公開未定です(汗)。
 実は、一部設定を未だに迷っている部分があって、前編ではどちらでも転べるようにあまり深く描いていないんですが、そこをどうするかでキャラクターへの感情移入も変わってくるかと思うので、結構悩みどころです。
 あと、前編に入れたかった1エピソードがあるんですが、こちらも構成上の都合で入れれる所がなかったので、やむなくオミットしました。後編に入れると取って付けたようになりそうなので、入れておきたかったんですが…。もしかしたら、こちらもオミットになるかもしれません。
 そんな感じな第5話ですが、感想やご意見などコメントでいただけると嬉しいです。反応があれば、後編の公開が早くなるかも…?(笑)

※この物語はフィクションです。実際の社会・団体・人物等とは一切関係ありません。
Copyright (c) 2007 Yull Togami. Magical-Kids. All rights reserved.

投稿者 戸神由留 : 01:00 | コメント (0)

■2007年08月24日

▼Diary - M/W

昨日もらった仕事の割当表。

25日09:00-20:00
26日08:00-16:45

今日、変更されてた割当表…。

25日07:45-21:00以降
26日14:30-25:00以降

……………。


ちょっと待てぇぇぇーーーーーっ!!!

な ん で や ね ん 。


しかも、「以降」って何?「以降」って!!

もうね…、何かどうでもよくなってきたよ…(T-T)


♪幸せはいつだって 失って初めて
 幸せと気付く 小さな不幸…

*

そんな中、ライブ行ってきた。

いやもう、かなり無理して時間作って。苦笑
正直、パワー分けてもらいたかったからなんだが…。

しかーし!
とある人の言葉通り、アウェー感たっぷりの雰囲気だった。
そうか…、そうか……、

こ れ が 逆 境 か っ !((C)島本和彦)

でも、そんな雰囲気をものともせず、全力で唄い切ったお二人からは、
最初から最後までクライマックスなパワーをいただいた。

坂原わかこ&永易真美のお二人、サンクス!
デビューCD、楽しみにしてますよーっ!!!

投稿者 : 23:00 | コメント (0)

■2007年08月23日

▼Diary - 炎天下の15連勤……orz

そんなわけで、炎天下の15連勤4日目。

死ねる。

まだまだ先は長い。
そして、早朝・深夜勤のおまけ付き。

*

みぅさん。レギュラーの仲間入り、おめでとっ!
攻防戦、楽しみにしております。

うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ……。

*

私信。

いくつかあるプランの内、一番詰め込んだものを採用する事にしましたよ!

つーわけで、意外な活躍をする予定。
デザインも、ほぼ決定。
あとは名前か…。
何か希望あります?

投稿者 : 22:50 | コメント (0)

■2007年08月20日

▼maid cafe - 俺の歌を聴けぇぇーーっ!!

感涙…(T-T)。

何がって、マクロス観てたメイドさんに逢えた事がっ!
しかも、FireBomberが好きときた!

これが感動せずにいられますかっ!!!

今まで、観たことないどころか、何それ?ってメイドさんが殆ど。
初代マクロスまでちゃんと知ってる人なんて、ほぼ皆無。

ぜひ、新作マクロス25(仮)を語り合いませう!

あぁ…。
久々に、カラオケで福山芳樹を歌いたくなってきたぁぁーーっ!!

投稿者 : 22:45 | コメント (0)

■2007年08月16日

▼+ e-maid - ステキな挑戦状

Hさん、はぴばすーーーーー。

そんなわけで、喫茶仲間とお屋敷でH氏をお祝い。

*

そんな最中、見習中のメイドさんからステキな挑戦状をいただいた。笑

いや。正直、見習いでそこまでの返しが出来るのは中々…。
さらに、徹底抗戦宣言まで-----!

ふふふふふ…、そうですか。受けて立つと?

つーわけで、シュガーポットの攻防は新章突入。
見習いだろうと、海の向こうから来たメイドだろうと、瞼に問題があろうと……

全力で対応するぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!笑

*

キャシーさん、見習い完了おめでとっ!
しかし、「還暦事件」により0にリセット…?笑

天才的天然キャラに、乾杯♪
    

投稿者 : 23:00 | コメント (0)

■2007年08月06日

▼Silent Moon - 気長にお待ちいただいてる皆様に感謝の意を込めて…

第4話、お待たせしております。汗汗汗
色々、試行錯誤や迷走を繰り返してたんですが、やっと本調子に戻りそうです。
というわけで、近日お目見え予定…?(←弱気)

さて、もうひとつ。
夏コミ不参加で時間が多少できたので、
前々から秘かに企画していた事を実行に移そうかと…。

第1~3話台本版同人誌リリースしますっ!

とりあえず、以下の様な内容を予定。

・台本形式に改稿したものを1冊に一話ずつ収録
・収録話数に関するラフデザイン公開
・収録話数に関する用語辞典
・同人誌版のみのショートストーリー

ブログ公開時、第3話後編の台本形式が好評だったので、
同人誌はそれを基本フォーマットにして構成します。
(それを受けて、第4話以降はブログでは小説風シナリオ形式、
同人誌では台本形式でリリースしていく予定です。
いきなり台本形式ではハードルが高いので、1クッション置く事にしました。)

今の所、どの話数からリリースするかは未定ですが、3話が有力か?笑
(いやほら。一番手を入れる所が少なくていいから…笑。)

そんなわけで、突然ですが予約を受け付けます!爆
(予約入らなくても、本は出しますけどね。)
そして、全然進まない話を気長に待って、
こまめにブログをチェックしてくださってる方々にお礼の意味も込めて、
先着予約特典を付けてしまいます。笑

特典の形態は、ピンナップ、収納ケース、同人誌カバー等々…
現時点では未定ですが、絵柄は次の通り。

A.凪姫&弥桜
B.錦子&相紅
C.凛華&粉雪&優妃
D.文&ノン&茉莉
E.シークレット

A~Dは、戸神の頭の中で描いているオープニングテーマの1シーンより。
Eは、訳ありキャラ3人(一人は五月)のイメージイラスト。
いずれにも、現時点で非公開のオープニングテーマの詩を掲載します。
(イラスト、詩とも、1~3話までの同人誌には収録しません。)
以上の絵柄の特典を、各絵柄1名(=先着5名)様に差し上げます。

予約してくださるという奇特な方は、この投稿にコメントをくださいませ。
個人が特定できる名前(ハンドル名やニックネーム、隠語など何でもOK)と、
希望する絵柄のアルファベットを第3希望まで書いてください。
いないとは思いますが、何冊予約しても特典は一つのみです。
コメントは投稿直後は管理者のみしか閲覧できない状態ですが、
内容を確認の後、公開して予約受付完了とさせていただきます。
(なので、コメントには個人情報などは絶対に書かないでくださいませ。)
何か一言メッセージを書いていただけると、喜びます。笑

頒価は、前回リリースの完全限定同人誌と同じ200円位の予定。
(そんなに高額取るような中身じゃないですし…ね。笑)
先にも書いたように、何話がリリースされるかは現時点で未定ですので、
最初にリリースされる話数のものに対しての予約とさせていただきます。
(何かの間違いで好評であれば、次回リリース分でも何かやります。笑)
また予約は、2007年12月31日までに手渡しできる方、
もしくは送料購入者負担で郵送できる方に限らせていただきます。
予約〆切は、第4話が公開されるまで。(←いつかわからない所がミソ。笑)

以上、ご了解いただける方のみコメントをお願いします。
先着順ですので、第1希望にならなかった方、
または5名までに入らなかった方はゴメンナサイです。

投稿者 : 00:00 | コメント (7)

■2007年08月03日

▼Anime & SFX - コードギアス…

STAGE 24&25を見た……。


が っ か り だ !


話を思い出す意味で、
23話をもう一度観てから続けて観たのだが、
このクオリティの暴落ぶりは何…?汗

作画だけでなく、演出、構成までダメダメ。
しかも、あのラスト。
いかに続編があろうと、
「コードギアス 反逆のルルーシュ」という作品は
一応の完結を迎えるのだから、
最低限、エピソードの決着ぐらいはつけろよな…と。
最近、グレンラガンやMS IGLOO等、
出来のいい作品ばかり観ていたせいか、
余計にそう感じる。

あーあ…。
続編、ますます期待できなくなってきた…。

投稿者 : 00:00 | コメント (0)

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